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週末に映画を一本観ようと思っても、配信サービスのトップページに並ぶ大量のサムネイルを前にして、結局どれも選べないまま時間だけが過ぎてしまう。そんな経験はないでしょうか。作品の数が増えるほど「本当に面白い一本」を見極めるのは難しくなり、選ぶこと自体がストレスになってしまいます。
そんなときに頼りになるのが、映画賞の受賞歴という手がかりです。アカデミー賞、カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭。世界中の映画人が知恵と情熱を注いだ作品の中から、専門家や映画作家たちが議論を重ねて選び抜いた一本には、それだけの理由があります。もちろん「賞を獲った=万人にとって面白い」とは限りませんが、少なくとも「観る価値がある作品」を効率よく見つけるための、信頼できる道しるべになります。
この記事では、まず知っておきたい主要な映画賞の違いを整理したうえで、アカデミー賞・カンヌ・ヴェネチアなどで実際に高い評価を受けた名作を一本ずつ紹介します。受賞の事実関係を確認しながら、それぞれの見どころとあわせてお届けしますので、「今夜何を観るか」の答えがきっと見つかるはずです。
まず知っておきたい主要な映画賞の違い
受賞作を選ぶ手がかりにするなら、それぞれの賞がどんな性格を持っているかを知っておくと、自分の好みに合った作品を選びやすくなります。「賞」とひとくくりにされがちですが、アカデミー賞と三大映画祭では、そもそも評価している対象も選び方も大きく異なります。
アカデミー賞(オスカー)とは
アカデミー賞は、アメリカの映画芸術科学アカデミーの会員による投票で選ばれる、アメリカ映画界最高峰の賞です。毎年春に授賞式が行われ、作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞などの部門に分かれています。特徴は、俳優・監督・脚本家・技術者といった映画人自身の投票で決まること。そのため、作品としての完成度の高さに加えて、多くの人の心に届く普遍性やエンターテインメント性が評価されやすい傾向があります。「幅広い観客に愛される映画」を選ぶ賞、というイメージを持っておくと分かりやすいでしょう。初めて名作に触れるなら、まずアカデミー作品賞から入るのが安心です。
カンヌ国際映画祭とパルムドール
カンヌ国際映画祭は、毎年5月にフランス南部の保養地カンヌで開催される、世界で最も権威ある映画祭のひとつです。コンペティション部門の最高賞はパルムドールと呼ばれ、その名は「黄金のシュロ(ヤシ科の植物)」を意味します。選考を担うのは、その年ごとに選ばれた映画監督や俳優などからなる少人数の審査員団。数多くの会員が投票するアカデミー賞とは対照的に、限られた審査員が議論を尽くして一本を選びます。
カンヌが重視するのは、作家性や独自性、映画表現としての挑戦です。そのため、必ずしも万人向けとは言えない実験的な作品や、社会の暗部に切り込む重いテーマの作品が高く評価されることも少なくありません。ヴェネチア、ベルリンと並ぶ「世界三大映画祭」の一角であり、映画ファンの間では受賞の重みがアカデミー賞に勝るとも劣らないと語られることもあります。
ヴェネチア・ベルリン、その他の賞
ちなみに、カンヌ・ヴェネチア・ベルリンの三大映画祭は、いずれもヨーロッパを拠点とし、その年に世界各国から集まった新作を各国の映画人が審査するという成り立ちを持ちます。アメリカ映画を中心に前年の作品を対象とするアカデミー賞とは、開催の枠組みそのものが異なるわけです。だからこそ両方で評価された作品は、国も評価軸も越えて認められたという意味で、特別な重みを持つことになります。
ヴェネチア国際映画祭は世界最古の国際映画祭で、最高賞は金獅子賞。ベルリン国際映画祭の最高賞は金熊賞です。この二つとカンヌを合わせて世界三大映画祭と呼びます。日本国内の作品を評価する賞としては、日本アカデミー賞や毎日映画コンクール、キネマ旬報ベスト・テンなどがあり、邦画選びの参考になります。「作家性ならカンヌやヴェネチア、幅広い名作ならアカデミー賞、邦画なら日本アカデミー賞」と覚えておくと、目的に応じて賞を使い分けられます。
| 映画賞 | 主催・開催地 | 選考方法 | 重視する点 | 最高賞 |
|---|---|---|---|---|
| アカデミー賞 | 米・映画芸術科学アカデミー | 会員の投票 | 普遍性・完成度 | 作品賞 |
| カンヌ国際映画祭 | 仏・カンヌ | 少数の審査員 | 作家性・独自性 | パルムドール |
| ヴェネチア国際映画祭 | 伊・ヴェネチア | 少数の審査員 | 作家性・芸術性 | 金獅子賞 |
| ベルリン国際映画祭 | 独・ベルリン | 少数の審査員 | 社会性・作家性 | 金熊賞 |
| 日本アカデミー賞 | 日本 | 会員の投票 | 邦画の完成度 | 最優秀作品賞 |
賞の垣根を越えた傑作『パラサイト 半地下の家族』
まず紹介したいのは、アカデミー賞とカンヌという二つの頂点を同時に極めた稀有な一本、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』です。本作は2019年の第72回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、韓国映画として初めてカンヌの最高賞に輝きました。さらに翌2020年の第92回アカデミー賞では、作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の4部門を制覇。英語以外の言語による作品が作品賞を受賞したのは、アカデミー賞の長い歴史で初めての快挙でした。
物語は、全員が失業中の貧しい家族が、ひょんなことから裕福な一家の生活に一人また一人と入り込んでいくところから始まります。前半は巧みな計画が次々と決まっていく痛快なコメディとして進みますが、後半はまったく予想もつかない方向へと展開し、格差社会の残酷さを鋭くえぐり出します。「半地下」という住居の高低差を格差の象徴として使う映像設計も見事で、一度観たら忘れられない一本です。カンヌの作家性とアカデミー賞の普遍性、その両方を兼ね備えた作品として、映画賞入門にうってつけと言えます。
アカデミー賞が選んだ不朽の名作
ここからは、アメリカ映画界の頂点であるアカデミー作品賞を中心に、時代を超えて愛される傑作を紹介します。まずは「幅広い観客に届く名作」を観たいという方に、特におすすめしたい作品群です。
『ゴッドファーザー』——映画史に刻まれた金字塔
フランシス・フォード・コッポラ監督が1972年に発表した『ゴッドファーザー』は、映画史を語るうえで欠かせない一本です。マリオ・プーヅォの小説を原作に、シチリア系移民のマフィア一族コルレオーネ家の栄枯盛衰を重厚に描き出しました。1972年公開の本作は、翌1973年の第45回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞・脚色賞の3部門を受賞しています。
老いたドンを演じたマーロン・ブランドの圧倒的な存在感、そして戦争から帰還した末息子マイケルがやがて非情な後継者へと変貌していくアル・パチーノの演技は、今なお語り草です。ちなみにブランドは主演男優賞を受賞したものの、映画業界による先住民の描かれ方への抗議として受賞を辞退したことでも知られています。約3時間の長さを感じさせない緊密な語り口と重厚な映像美は、まさに「観ておくべき映画」の代表格です。
『タイタニック』——記録を塗り替えた不朽のラブストーリー
ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』は、1912年に実際に沈没した豪華客船を舞台に、階級を越えて惹かれ合う若い男女の悲恋を壮大なスケールで描いた作品です。1997年に公開されるや世界的な大ヒットとなり、1998年の第70回アカデミー賞で作品賞・監督賞をはじめ11部門を受賞。この11部門という受賞数は『ベン・ハー』に並ぶ史上最多タイ記録で、ノミネート数も14部門と歴代最多クラスでした。
沈みゆく船の上で繰り広げられる人間ドラマと、当時最先端だった特撮による圧倒的な映像は、公開から四半世紀を経た今も色あせません。レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの瑞々しい演技、そして主題歌の名曲も相まって、まさに「幅広い観客に愛される名作」の象徴的な一本です。娯楽大作でありながらアカデミー賞を席巻した、稀有な成功例と言えるでしょう。
『シンドラーのリスト』——実話が問いかける人間の良心
スティーヴン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』は、第二次世界大戦下のホロコーストを背景に、実在したドイツ人実業家オスカー・シンドラーが、自らの工場で働かせることで千人を超えるユダヤ人の命を救った実話を描いた作品です。1993年に公開され、1994年の第66回アカデミー賞で作品賞・監督賞をはじめ7部門を受賞。スピルバーグにとっては初めての監督賞受賞作となりました。
ほぼ全編をモノクロで撮影しながら、ある少女の赤いコートだけに色を残す演出は、映画史に残る名場面として知られています。人間が示しうる残虐さと、それでもなお失われない良心の両方を静かに見つめる本作は、決して軽い気持ちで観られる作品ではありませんが、一度は向き合っておきたい一本です。約3時間15分と長尺ですが、その時間に見合うだけの重みがあります。
『ムーンライト』——静かな詩情に満ちた成長の物語
バリー・ジェンキンス監督の『ムーンライト』は、マイアミの貧困地区で暮らす黒人青年シャロンの半生を、少年期・青年期・成人期の三章立てで描いた作品です。2017年の第89回アカデミー賞で作品賞・脚色賞・助演男優賞の3部門を受賞しました。授賞式では、いったん別の作品が作品賞と読み上げられた後に訂正されるという前代未聞のハプニングが起き、その意味でも語り継がれる一本となっています。
大作の派手さとは無縁で、青い月光に照らされた海辺のシーンに象徴されるように、全編が静かで詩的なトーンに包まれています。自分のアイデンティティやセクシュアリティに悩みながら、寡黙に生きる主人公の内面を、青を基調とした美しい映像で丁寧にすくい取ります。声高に何かを主張するのではなく、余白と沈黙で語るタイプの作品が好きな方に、特に響くはずです。
『ノマドランド』——現代アメリカを走り抜ける魂の旅
クロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』は、リーマンショック後の不況で職と住まいを失い、キャンピングカーで各地を移動しながら季節労働で生きる高齢女性ファーンの旅を描いた作品です。本作は2020年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、続く2021年の第93回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞の3部門を受賞という、映画祭とアカデミー賞の両方を制した傑作です。
主演のフランシス・マクドーマンドの抑制の効いた演技に加え、実際に車上生活を送る「ノマド(遊牧民)」たちが本人役で多数出演しているのが大きな特徴で、ドキュメンタリーと劇映画の境界を溶かすような独特の質感を生んでいます。アメリカ西部の広大な風景と、そこを漂うように生きる人々の姿が静かに胸を打ちます。派手な事件は起こりませんが、観終わったあとに長く余韻の残る一本です。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』——混沌の先にある家族の絆
「ザ・ダニエルズ」ことダニエル・クワンとダニエル・シャイナートが監督した本作は、コインランドリーを営む移民女性エヴリンが、無数の並行世界(マルチバース)を飛び回りながら世界の危機に立ち向かうという、めまいがするほど奇想天外なSFアクション・コメディです。この破天荒な作品が、2023年の第95回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞をはじめ7部門を受賞し、11部門ノミネートからの快挙を成し遂げました。主演のミシェル・ヨーは、アジア系として初めてアカデミー主演女優賞に輝いています。
荒唐無稽なアクションと下品ともいえるギャグの奔流の中に、実は「すれ違ってしまった母と娘」「うまくいかなかった人生への後悔」という普遍的なテーマが埋め込まれているのが本作の凄みです。カオスの果てにたどり着く感動は、他のどんな映画とも違う体験を約束してくれます。とにかく新しい刺激が欲しいという方に強くおすすめします。
カンヌ・パルムドールが認めた挑戦的な傑作
続いては、作家性と独自性を重んじるカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝いた作品を紹介します。一筋縄ではいかない、けれど一生記憶に残るような映画体験を求める方向けの一群です。
『パルプ・フィクション』——映画の常識を塗り替えた衝撃作
クエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』は、1994年の第47回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品です。当時は本命視されていなかっただけに受賞は驚きをもって迎えられ、会場では監督が観客のブーイングを浴びながら笑みを浮かべる、という伝説的な場面も生まれました。本作はのちにアカデミー脚本賞(オリジナル脚本賞)も受賞しています。
ギャング、ボクサー、殺し屋のカップルなど、ロサンゼルスの裏社会を生きる人物たちのエピソードが、時系列をあえてバラバラに組み替えて語られます。会話劇の妙、大胆な構成、そして随所にちりばめられたポップな引用。公開から30年が経った今も色あせない斬新さで、その後の映画作りに計り知れない影響を与えました。少々刺激の強い描写はありますが、映画の面白さを新しく発見したい方には外せない一本です。
『地獄の黙示録』——戦争映画の極北
『ゴッドファーザー』のコッポラ監督が、私財を投じ、フィリピンでの過酷な撮影を経て完成させた『地獄の黙示録』は、ベトナム戦争を舞台にした異形の大作です。本作は1979年の第32回カンヌ国際映画祭で、フォルカー・シュレンドルフ監督の『ブリキの太鼓』とともにパルムドールを分け合う形で受賞しました(この年のパルムドールは2作品同時受賞でした)。カンヌでは「未完成版」として上映されたことでも知られています。
川を遡上するにつれて正気が失われていく兵士たちの姿を通して、戦争が人間の精神を蝕んでいく様を圧倒的なスケールで描き出します。ヘリコプター部隊の襲撃シーンや、闇の奥に潜むカーツ大佐の存在感など、映画史に刻まれた名場面の連続です。娯楽としてスッキリ観られる作品ではありませんが、映画という表現が到達しうる一つの極限を体感できる、忘れがたい一本です。
『戦場のピアニスト』——生き延びることの意味
ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』は、第二次世界大戦下のワルシャワで、ナチス・ドイツの迫害を逃れて過酷なサバイバルを続けた、実在のユダヤ人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験を映画化した作品です。2002年の第55回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、翌2003年の第75回アカデミー賞では監督賞・主演男優賞・脚色賞の3部門を受賞しています。
華やかな才能に恵まれたピアニストが、家族を奪われ、廃墟と化した街で身を潜め、ただ生き延びることだけを目指して日々をしのいでいく。その姿を通して、極限状況における人間の尊厳と、音楽が持つ救いの力が静かに描かれます。終盤、廃屋でピアノを弾く場面の緊張感と美しさは、多くの観客の記憶に刻まれています。重いテーマながら、最後まで目が離せない普遍的な感動作です。
『万引き家族』——「家族」とは何かを問う日本の傑作
是枝裕和監督の『万引き家族』は、東京の片隅で身を寄せ合い、万引きなどの小さな犯罪で家計を支えながら暮らす一家を描いた作品です。本作は2018年の第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、日本映画としては21年ぶり、史上5度目のパルムドール獲得という快挙を成し遂げました。翌年にはアカデミー賞外国語映画賞(現・国際長編映画賞)にもノミネートされています。
血のつながりのない者同士が寄り集まって「家族」を営むこの一家は、確かに社会の規範からは外れています。しかしそこには、本物の家族以上に温かい情愛が通っているようにも見える——。血縁とは何か、家族とは何かという問いを、押しつけがましくなく、けれど深く突きつけてくる一本です。子役を含む俳優陣の自然な演技も素晴らしく、是枝監督の代表作にふさわしい完成度を誇ります。
『ドライブ・マイ・カー』——喪失と再生を静かに見つめる
濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』は、村上春樹の短編小説を原作に、妻を亡くした舞台俳優兼演出家が、専属ドライバーの若い女性とともに過ごす時間の中で、少しずつ喪失と向き合っていく姿を描いた作品です。本作は2021年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、さらに2022年の第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞。同時に日本映画として初めてアカデミー作品賞にもノミネートされました。
約3時間という長さの中で、多言語による演劇『ワーニャ伯父さん』の稽古と、車内での静かな対話が丁寧に積み重ねられていきます。派手な展開はありませんが、言葉と沈黙の間に流れる感情が、観る者の心にゆっくりと染み込んでいきます。喪失を抱えた人がどう再び歩き出すのか。その問いに寄り添う、余韻の深い作品です。じっくりと映画に浸りたい夜にふさわしい一本です。
日本映画が世界を驚かせた名作
最後に、世界の映画祭やアカデミー賞で高く評価され、日本映画の存在感を世界に示した二本を紹介します。邦画の底力を感じたい方にぜひ観てほしい作品です。
『羅生門』——世界に衝撃を与えた黒澤明の代表作
黒澤明監督の『羅生門』は、日本映画が世界の舞台に躍り出るきっかけとなった記念碑的な作品です。1950年に公開された本作は、1951年の第12回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。日本映画として史上初めての国際映画祭最高賞であり、世界中の映画人に衝撃を与えました。さらにその後、アカデミー賞では名誉賞(外国語映画を対象とした賞)も受けています。
ある殺人事件をめぐって、当事者たちの証言がことごとく食い違うという物語は、「人はそれぞれ自分に都合のよい真実を語る」という人間のエゴを鋭くえぐります。同じ出来事を複数の視点から描く構成は「羅生門効果」という言葉を生むほど後世に影響を与えました。約88分とコンパクトながら、モノクロの陰影に富んだ映像美と芥川龍之介原作の重厚なテーマが凝縮された、時代を超える傑作です。
『おくりびと』——死を見つめ、生を照らす
滝田洋二郎監督の『おくりびと』は、ひょんなことから納棺師の仕事に就いた元チェロ奏者の主人公が、死者を送り出す仕事を通して、命や家族の意味に向き合っていく姿を描いた作品です。本作は2009年の第81回アカデミー賞で外国語映画賞(現・国際長編映画賞)を受賞。この部門で日本映画が受賞したのは史上初めての快挙でした。国内でも第32回日本アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀監督賞など10部門を独占しています。
納棺の所作を美しい様式として描く場面の静謐な緊張感と、ユーモアと涙が絶妙に入り混じる語り口が、多くの観客の心をつかみました。死という重いテーマを扱いながらも、決して暗くならず、むしろ生きることの尊さを温かく照らし出す一本です。海外の映画賞で評価された邦画に触れてみたいという方にとって、最初の一本として最適な作品と言えるでしょう。
配信にない受賞旧作を観るなら宅配レンタル
ここまで紹介してきた作品を「さっそく観たい」と思っても、実際に探し始めると一つの壁にぶつかります。それは、話題の新作や近年の受賞作は各種の動画配信サービスで観られることが多い一方で、『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』『羅生門』といった過去の受賞旧作は、配信のラインナップに入っていなかったり、時期によって配信が終了していたりすることが珍しくない、ということです。名作ほど権利関係が複雑で、いつでもどこでも観られるとは限らないのが現実です。
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「配信にあれば配信で、なければ宅配レンタルで」という使い分けを覚えておくと、観たい受賞作を取りこぼすことがなくなります。特に本記事で紹介したような古典的名作を制覇したい方には、心強い選択肢になるはずです。
受賞作から観る映画を選ぶときのコツ
映画賞の受賞歴は強力な手がかりですが、闇雲に「賞を獲った作品」を並べても、自分に合うとは限りません。ここでは、受賞作から満足度の高い一本を選ぶためのちょっとしたコツを紹介します。
- まずはアカデミー作品賞から入る。幅広い観客に届くことを重視して選ばれているため、映画賞ビギナーでも入りやすい作品が揃っています。
- 作家性や刺激を求めるならカンヌ・ヴェネチアへ。挑戦的で余韻の残る作品が多く、「普通の映画では物足りない」という段階に来たら特におすすめです。
- 受賞部門にも注目する。作品賞だけでなく、脚本賞なら物語、撮影賞なら映像美、というように、受賞した部門はその映画の強みを教えてくれます。
- 好きな監督や俳優の受賞作を辿る。一本気に入ったら、同じ作り手の別の受賞作へ広げていくと、外れが少なく好みも深まります。
- 気分と体力に合わせて選ぶ。受賞作には重厚で長い作品も多いので、疲れている夜は上映時間やテーマの重さも考慮すると失敗しません。
よくある質問
アカデミー賞とカンヌのパルムドール、どちらがすごいの?
単純に優劣をつけられるものではありません。アカデミー賞はアメリカ映画界最高峰の賞で、多くの映画人の投票により「幅広く愛される完成度の高い作品」が選ばれます。一方カンヌのパルムドールは、少数の審査員が「作家性や表現の独自性」を重視して選ぶ賞です。評価する軸が違うため、どちらも映画界の頂点であることに変わりはありません。両方を制した『パラサイト 半地下の家族』のような作品が特別視されるのも、この二つの性格の違いを考えれば納得できます。
受賞作は「難しくてつまらない」というイメージがあります
確かにカンヌ系の作品には難解なものもありますが、受賞作すべてがそうではありません。『パルプ・フィクション』のように娯楽性に富んだパルムドール作品もありますし、アカデミー作品賞には『ゴッドファーザー』のように多くの人を惹きつけてきた名作が揃っています。最初は「幅広い観客に届く」ことを重視するアカデミー作品賞から入り、徐々に映画祭系の作品へ広げていくと、無理なく世界が広がります。
昔の受賞作はどこで観られますか?
近年の受賞作は動画配信サービスで観られることが多いですが、公開から年数の経った旧作は配信にないことも珍しくありません。その場合は、DVD・Blu-rayの定額宅配レンタルサービスを利用すると、往年の名作まで幅広くカバーできます。配信状況は時期によって変わるため、観たい作品が見つからないときは各サービスで最新の取り扱いを確認するのがおすすめです。
邦画で世界的に評価された作品はありますか?
数多くあります。本記事で紹介した『万引き家族』(カンヌ・パルムドール)、『ドライブ・マイ・カー』(アカデミー国際長編映画賞)、『羅生門』(ヴェネチア金獅子賞)、『おくりびと』(アカデミー外国語映画賞)はいずれも国際的な賞を受けた代表例です。日本映画の底力を感じたい方は、こうした受賞作から辿っていくと、邦画の奥深さに出会えるはずです。
受賞作を効率よく観ていく順番はありますか?
決まった正解はありませんが、迷ったらまず近年のアカデミー作品賞から観始めるのがおすすめです。映像や語り口が現代的で入りやすく、配信でも見つけやすいためです。そこから面白いと感じた監督や俳優の過去作へ広げ、慣れてきたらカンヌやヴェネチアの受賞作、さらに『ゴッドファーザー』『羅生門』といった古典的名作へと遡っていくと、無理なく映画の幅を広げられます。古い受賞作に手を伸ばす段階になったら、配信で見つからない作品は宅配レンタルで補うと、観たい一本を取りこぼしません。
まとめ
何を観るか迷ったとき、映画賞の受賞歴は「観る価値のある一本」へ最短でたどり着くための、信頼できる道しるべになります。アカデミー賞は幅広い観客に届く完成度の高さを、カンヌやヴェネチアといった映画祭は作家性や表現の独自性を評価する。この違いを押さえておけば、その日の気分や求めるものに合わせて作品を選び分けられます。
本記事で紹介した『パラサイト 半地下の家族』『ゴッドファーザー』『万引き家族』『羅生門』などは、いずれも受賞の事実が示すとおり、時代や国境を超えて人の心を動かしてきた作品ばかりです。まずは気になった一本を手に取ってみてください。近年の作品は配信で、配信にない旧作は宅配レンタルで、と使い分ければ、観たい受賞作を取りこぼすことなく、豊かな映画体験を積み重ねていけます。今夜の一本が、あなたにとって忘れられない出会いになりますように。
※各作品の配信・レンタル状況は変動します。最新の取り扱いは各サービスでご確認ください。
